怒られなかった思い出
これは、わたしが子供の頃のお話です。
なんとなく、昔のことを思い出したので少し小ネタとして書かせてください。
私が小学校の3,4年の時、友達と川で遊んでいて靴を片方流してしまった。
私は母に怒られる!
と思ったけれども、そのことを黙っていても無くしたことはすぐにばれてしまいますし、新しい靴が必要になるので正直に話をしました。
「お母さん、片方の靴、川に流されちゃった・・・。ごめんなさい」
「そう。片方あっても仕方ないから両方流してしまえばよかったのに(笑)」
母は笑いながら冗談を言った。
わたしは 怒られる!!!
と思っていたので、そんな返事が返ってきたので驚いてしまった。
だから、いつまでたってもそのことを覚えている。
面白いお母さん。
靴をなくしたことを怒らなかった母の言葉は面白く、このことがあった後、靴を片方流してしまったけれど、もう片方も流せばよかったのにと、言った母のことを面白おかしく友人に話をしていた。
確かに、片方あっても仕方ないもんね。
この前、何気に母にこの話をしてみた。
覚えていないと思っていたけれど覚えていた。
思いもよらない言葉が返ってきた。
「あの時、褒めてあげたいくらいだったけれども、誤解をするといけないからサラッと冗談にしたんだよ。内心はホッとしていた」
意味がわからなかった
「川で物が流れて、怒られるかもしれないからとか、大事なものだとか、どういった理由でもそれをとりに行こうとして事故が起きたらと思うとぞっとする。私はあなたにもし川で物を落としても決して取りに行ってはいけない。といつも言っていたんだよ」
そう、言われた。
そんなことをいつも言われていたなんて記憶になかった。
もちろん、その靴を流してしまったときも、母に「取りに行ってはいけない」と言われたから取りに行かなかったわけじゃない。
ただ、取れなかっただけだった。
だから、怒られるとも思っていたし、それを母に伝えるのも恐かった。
もしかしたら、流された靴が取れるかもしれないと、その時判断したなら取りに行っていたかもしれない。
だから、子供は親がどれだけ口を酸っぱくして伝えていても聞いていない時は、全く頭に入っていないということをこの話を聞いて身をもって知った。
そういえば…と、この話を思い出しもしなかったら、いつまでも母の気持ちを知ることもなくただの笑い話で終わっていた。
偶然にしても、あの時のことを母に聞けて良かったと思う。
どんなに伝えたって、伝わっていないことがわかっていても、それでも気を付けてほしいと出かける前、何かをする前に子供にきちんと話していこうと思う。